![問題解決実績 [CASE STUDY]](https://www.100nensabinai.jp/case_study/img/title_caseEntry.jpg)
Posted on 2026.01.06
防食塗装において、
「塗装がはがれた」「想定より早く劣化が進んだ」
という事象が起こることがあります。
こうした場合、原因は単純ではありません。
使用環境、構造条件、供用年数など、複数の要素が関係します。
そのうえで、橋梁を含む鋼構造物の表面処理に長年携わってきた立場から、
まず確認すべきポイントがあります。
それが、
下地処理(ブラスト)が、設計・施工管理で想定された前提条件を満たしていたかどうか
という点です。

日本の高速道路・橋梁分野では、
防食仕様の設計・施工管理の拠り所として、
日本道路協会の「鋼道路橋防食便覧(塗装編・溶射編)」と
NEXCO各社の「構造物施工管理要領」「設計施工管理要領」
が用いられています。
これらの資料に共通しているのは、
橋梁の防食性能を成立させる大前提として、
適切なブラストによる下地処理が明確に位置づけられている点です。
具体的には、
素地調整:ISO 8501-1 Sa 2½ 相当
表面粗さ:塗装・溶射仕様に応じた管理値(RzJIS管理)
といった条件が、
塗膜・溶射皮膜の密着性および長期耐久性を確保するための
前提条件として示されています。
重要なのは、
塗装系・溶射系の仕様や期待耐用年数は、
この下地条件が満たされていることを前提に設計されている
という点です。
NEXCO要領や鋼道路橋防食便覧では、
ブラストは単なる前処理工程としてではなく、
防食性能を左右する管理項目として扱われています。
ブラストによって、
1. 腐食生成物・汚れを除去し、清浄な鋼素地を確保する
2. 塗膜・溶射皮膜が定着するための粗さを付与する
3. 表面状態を均一化し、密着性のばらつきを抑える
これらが安定して確保されて、
初めて設計で想定された防食性能が成立します。
逆に言えば、
下地処理条件が設計の前提から外れている場合、
その後の工程が適切に実施されていても、
長期的な耐久性に差が生じる可能性は否定できません。
近年、橋梁や鋼構造物の老朽化が社会課題として注目されています。
点検・補修事例を見ていくと、
施工時に想定されていた条件が十分に確保されていなかった
という指摘がなされることがあります。
防食においても同様で、
完成時の外観では判断できない
下地処理の質が、
数年後、十数年後の健全性を左右します。
新免鉄工所では、
NEXCO各社の「設計施工管理要領」および「鋼道路橋防食便覧」をベースにした橋梁施工を行ってきました。
その中で一貫して重視しているのが、
ブラストによる下地処理条件の設定と再現性です。
清浄度は設計条件を満たしているか
粗さは塗装・溶射仕様に適合しているか
構造物全体で均一に確保できているか
これらを事前に整理し、
工場施工・出張施工のいずれにおいても、
経験豊富な技術者が対応しています。
塗装や溶射は、最終工程です。
その性能は、下地処理という土台の上に成り立っています。
NEXCO要領や鋼道路橋防食便覧が示しているのは、
「材料や工法だけで性能が決まる」という考え方ではなく、
前提条件を満たして初めて性能が発揮されるという思想です。
新免鉄工所では、
この考え方をベースに、
剥離トラブルを未然に防ぐ施工を積み重ねてきました。
塗る前に、整える。
それが、橋梁防食の基本であり、
私たちが長年大切にしてきた表面処理の考え方です。
参考基準・資料
日本道路協会
「鋼道路橋防食便覧(塗装編・溶射編)」
東・中・西日本高速道路(株)
「構造物施工管理要領」
西日本高速道路(株)
「設計施工管理要領」
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