問題解決実績 [CASE STUDY]

なぜ今、レーザクリーニングに注目が集まっているのか?─現場から聞こえてきた"本音"をもとに

レーザ表面処理

2025年7月の幕張メッセの展示会を皮切りに複数の展示会に出展して以来、製造、建設、メンテナンス、装置メーカー、研究機関まで、実に多様な業種の方々とお話しする機会をいただきました。その対話の中で、ある共通したテーマが浮かび上がってきました。

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「レーザクリーニングには興味がある。ただ、本当に自分たちの現場で効果を発揮するのか、判断する材料が少ない」

多くの方が、情報不足のまま様子見をされている。そんな状況が見えてきたのです。

そこで新免鉄工所レーザ事業部では、このブログを通じて、展示会やデモで直接いただいたご質問、現場でのリアルな会話、実際に観察してきた課題などをもとに、皆さまの判断に役立つ情報を整理してお届けしていきます。

私たちがお伝えしたいのは、「レーザを買ってください」という話ではありません。
「レーザって実際どうなの?」「どんな現場で使えるの?」
そんな率直な疑問に対して、できる限りわかりやすくお答えし、読んだ方が"自分の現場に当てはめて考えるヒント"を持ち帰れるブログを目指しています。

1. 従来工法でよく聞く"困りごと"

展示会で最も多く耳にしたのは、次のような声でした。

  • サンダーやブラシでは特に狭隘部の仕上がりにムラが出てしまう
  • ブラストは粉じんや養生の手間が大きく、工数や採算が取りにくい
  • 廃液処理の負担や環境配慮への要求が年々重くなっている
  • 細部だけうまく処理できず、結局人の手で削り直すことになる

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確立された工法であっても、現場には確実に「困りごと」が積み上がっている。
そして興味深いことに、これらの声は業種を問わず、驚くほど共通していました。

2. そんな中で、レーザが選択肢に上がる理由

レーザクリーニングは決して万能ではありません。
しかし、次のような場面では非常に現実的な解決策となり得ます。

粉じんが出にくい

粉塵の飛散が少ないため、「周囲に迷惑をかけたくない現場」や「工場内での部分処理」で高く評価されています。

母材を残しやすい

条件調整次第で、酸化被膜や塗膜だけを選択的に除去し、下地への影響を最小限に抑えられます。

再現性が高い

出力、焦点距離、走査速度などのパラメータを管理することで、安定した品質を維持しやすくなります。

ただし、厚膜や熱に弱い素材など、レーザに不向きなケースも存在します。
重要なのは、「何に向いていて、何に向かないのか」を正しく理解することです。

3. 特に問い合わせが多い「200Wの焼け取り」

展示会以降、最も多くご相談をいただいているのが、200Wクラスによる溶接焼け取りです。

  • ステンレスの仕上がり品質を向上させたい
  • 溶接焼けを取り除きたい
  • 酸化被膜だけを選択的に除去したい

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この分野は比較的結果が安定しやすいため、レーザクリーニング導入の最初の検討領域として選ばれる傾向があります。

次に多いのが、100Wクラスの軽度な錆取り、1000Wの塗膜剥離、2000Wの素地調整といった用途です。これらについては、今後の記事で順に取り上げていく予定です。

4. このブログが届けたいもの

私たちがここで提供したいのは、「レーザを使うべきかどうかを、ご自身で評価できる材料」です。

  • レーザの"できる/できない"の境界線
  • 他工法との比較の視点
  • まず試してみる価値がある領域
  • 実際に現場で聞いた声の共通点

こうした情報を積み重ねることで、
「うちの現場に当てはまるかもしれない」
「これは向かないな。でも別の用途なら可能性がありそうだ」
といった具体的な気づきを持ち帰っていただけると考えています。


次回は、実際に最もご質問の多かった
「200Wレーザによる溶接焼け取りのリアル」
を、現場目線で詳しく解説します。

どうぞご期待ください。


新免鉄工所 レーザ事業部

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