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● レーザ表面処理
Posted on 2025.12.22
7月の東京での展示会出展以降、製造業、建設業、装置メーカーなど、多様な業種の方々と対話を重ねる中で、ほぼ例外なく話題に上がったテーマがあります。それが「溶接焼け取り」です。
レーザクリーニングには興味がある。
ただし、
「今の工程と比べて本当に意味があるのか」
「どこまできれいになるのか」
「コストは見合うのか」
といった疑問を抱えたままの方が多い、というのが率直な印象でした。
この記事では、展示会やデモ訪問で実際にお聞きした声をもとに、弊社STNブランドの200Wレーザクリーニング機による溶接焼け取りが、どのような場面で現実的な選択肢となり得るのかを整理してまいります。
鉄やステンレスの溶接部に生じる焼けの正体は、溶接時の熱によって形成された酸化被膜です。

この焼けは「見た目が悪い」という理由だけでなく、後工程において実務上の問題を引き起こします。
例えば、
そのため、多くの現場では何らかの方法で焼けを除去する工程が組み込まれています。
展示会やデモ訪問を通じて見えてきたのは、焼け取りの目的が次の3つに整理できるという点です。
ステンレス製品や意匠部材など、最終製品として「見える」部分では、美観が最優先されます。

この領域では、「焼けが取れたかどうか」ではなく、最終的な見た目がすべてです。
塗装・防食・溶射などの前処理としての焼け取りです。
この場合、焼け取りは"目的"ではなく、"品質を安定させるための手段"となります。
現在は薬剤処理で焼けを除去しているが、
といった理由から、工程そのものを見直したいという動機です。
実際に、ある企業では毒物・劇薬を含まない薬剤への切り替えを実施されましたが、「環境負荷は下がったものの、仕上がりが従来ほど満足できるものではなくなった」というジレンマに直面されていました。環境対応と品質のバランスをどう取るか----これは多くの現場で共通する悩みだと感じています。
溶接焼け取りを検討する際、美観目的であっても機能目的であっても、必ず比較対象になるのは現在の工程です。実際、多くの現場では薬剤処理が用いられています。
薬剤処理には、
という強みがあります。一方で、現場では次のような負担も無視できなくなっています。
こうした背景から、「焼け取り」という工程そのものを見直したいというご相談が増えてきました。
レーザクリーニングは、焼け取り全般において、現工程(薬剤処理)と比較される存在です。

特に注目されるのは、次の点です。
一方で、設備投資が必要になる点は、必ず検討材料となります。
500万円 ÷ 180万円 ≒ 約2.8年
実際には使用頻度や薬剤の種類によって変動しますが、2~3年で回収できるケースは十分現実的です。使用頻度が高い現場ほど、回収期間は短くなります。
美観を重視する場合、話は一段と慎重になります。
レーザは条件次第で母材にも影響を及ぼすため、
といったリスクが存在します。
「レーザだから簡単にきれいになる」というものではなく、条件設定と事前確認が不可欠です。
デモでさまざまな企業を訪問する中で実感したのは、ステンレスの溶接焼け取りにおいて、STNの200W機が最もバランスに優れているという点です。
①美観、②機能、③工程変更、いずれのニーズに対しても、最初の検討対象として現実的だと考えています。
特に、環境対応のために薬剤を変更したものの仕上がりに課題が残っているケースでは、レーザの細かな設定調整が有効です。出力、焦点距離、走査速度といったパラメータを微調整することで、品質と環境負荷低減の両立を目指すことが可能です。先述の企業様でも、こうした調整を重ねることで納得のいく仕上がりに近づけていくプロセスを一緒に進めています。
最終的な良し悪しを決めるのは、数値やカタログではありません。
そのため、新免鉄工所では必ず、
を行い、実物を見て判断していただくことを大切にしています。
200Wレーザは万能ではありません。
しかし、条件が合えば、
という効果が期待できます。
レーザを使うかどうかではなく、
「今の焼け取り工程に無理がないか」
その見直しのきっかけとして、参考にしていただければ幸いです。
新免鉄工所 レーザ事業部
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